離婚したとき財産は具体的にどう分けるのですか?
財産分与について
財産分与には2分の1ルールがあると聞きました。でも、妻は家事や子育てが行き届かず、かなりの部分を私が担当していました。それでも2分の1となってしまうのでしょうか。
確かに、自分は仕事も家事していたのに、妻は家事もしないでゴロゴロするかテレビばかり見ていたのに、2分の1とされることには納得がいかないと思われる気持ちはもっともです。しかし、実務の運用では、2分の1ルールはかなり厳格に適用されています。妻もそれなりに分担していたというのであれば、原則2分の1となる傾向になると思われます。ただし、夫婦共稼ぎで、家事は全て夫が行っていたといよう場合には、夫側に2分の1を超えて寄与が認定される場合もありうるかもしれません。
住宅ローンが残っている場合に財産分与はどのように行うのでしょうか。
1 物件の時価がローン残額を上回っている場合
例えば、結婚中に夫婦が購入して夫名義にしていたマンションの部屋の現在価値が3000万円で、ローンが1500万円残っているという場合、分与の割合が2分の1ずつとした場合の財産分与はどうなるでしょうか。この場合、妻のマンションの部屋の持ち分を夫に移転することの引き換えに、差額1500万円の2分の1である750万円を夫が妻に分与する、という方法で清算するという方法もあります。
2 住宅ローンの残額が不動産の時価を上回っている場合(オーバーローンの場合)
(1)オーバーローンの不動産以外に財産が存在しない場合
例えば、別居時の財産としては、夫名義の時価4000万円相当のマンションのみがあるがマンション購入のために夫名義で借りたローンの残債が5000万円残っている場合の財産分与の方法はどうなるでしょうか。この場合、不動産は財産分与の対象となりません(債務のみを取り上げて、マンションは夫所有のままとしながら、妻に住宅ローンの一部につき免責的債務引受等の負担を命じる財産分与が命じられることはまずないと言われています)。
(2)不動産以外にプラスの財産がある場合
例えば、夫名義の時価4000万円相当のマンション、夫名義の住宅ローンの残債が5000万円残っており1000円のオーバーローンになっているが、別に、夫名義の預金2000万円がある場合、妻に幾ら分与することになるのでしょうか。この場合は、二つの考え方があります。
- ①自宅マンションは夫所有、住宅ローンも夫が負担するとした上で(財産分与の対象としないで手を付けないままにする)、預金の半額である1000万円を妻に分与するとする方法があります。
- ②預金2000万円をオーバーローンのマイナス1000万円の穴埋めに使用する。預金の残り1000万円を2分の1づつ取得するとする方法です。つまり、夫は、オーバーローンの不動産と預金1500万円を取得し、妻に、預金500万円を分与することになります。
妻の名義としていた財産も財産分与の対象になりますか。
なります。名義の如何にかかわらず、婚姻中に形成された財産は財産分与の対象となります。
妻は、妻名義の財産は私から贈与を受けたものなので財産分与の対象にならないと主張しています。
→実際に贈与であるとしても、それは財産分与の一部の先履行と評価できる場合には、その分も含めて財産分与の対象とされると思われます。
妻がホストクラブに入り浸っています。そこで、離婚したいと思っているのですが、どうやら、ホストに貢ぐために消費者金融から多額の借金をしているようです。離婚後も私は妻の借金を返済する義務を負うのでしょうか。
ご質問の場合は、夫は妻の借金を返済する義務を負いません。法律上は、夫婦の共同生活から生じる通常の事務に基づいて発生した債務(これを「日常家事債務」といいます)については、夫も連帯債務を負いますが、ご質問のような場合は「日常家事債務」に該当しないと思われますので、その場合は、夫が消費者金融会社に対して連帯債務を負担することはないことになります。なお、ご質問からは少し離れますが、このように夫が妻の借金を負担しないで済む場合がありますので、「専ら妻の借金から逃れることのみを目的とする離婚」は、それ自体、離婚原因がないとされる可能性もあります。
では、財産分与の際に、上のような妻の借金は夫婦の財産から清算されるのでしょうか。
日常家事債務や、夫婦の一方が婚姻共同生活を維持するために負担した債務については、夫婦のプラス財産から妻の借金を差し引いて、残りの分を2分の1ずつ分けることになります。しかし、上のような妻の借金は、プラス財産から差し引かれることないと思われます。
妻が家を出て行く際に、私名義の銀行預金を私に無断で払い戻して持ち出してしまいました。このことは、財産分与の際に考慮してもらえるのでしょうか。
この場合、婚姻費用の算定には考慮されないが、財産分与の算定にあたっては考慮するとされています。具体的には、妻が払い戻した預金が500万円、残りの預金が1500万円、不動産が4000万円とした場合、これらを合算した合計6000万円が分与対象財産となります。そのうち、2分の1の3000万円が妻の分与分となりますがこの3000万円から妻が払い戻した預金500万円を差し引いた2500万円が妻が取得する分となります。