婚姻費用分担請求
婚姻費用分担請求
夫婦が別居した場合、夫婦の一方は他方に対して婚姻費用の分担を求めることができます。婚姻費用とは、衣食住にかかる費用・医療費・子どもの教育費等をいいます。収入の多い方から少ない方に金銭を支払うことになります。婚姻費用の金額は、その資産、収入、その他一切の事情を考慮して決められますが、通常は、算定表に基づいて算出されます。婚姻費用分担義務は法律上の婚姻関係が解消されるまで負担し続けることになります。たとえ、離婚訴訟が係属している場合であっても負担するとされています(東京高裁昭和55年3月7日決定)。
婚姻費用を請求するには、まずは当事者間の話し合いを行い、合意できなかった場合は調停を申立てます。調停が不成立となった場合は、特別な手続きを要することなく職権で審判手続きに移行し、婚姻費用の分担を認める(認めない)の審判が下されます。
例外的に婚姻費用分担請求が認められない場合があります。例えば、妻が不倫をしたことにより夫との婚姻関係が破綻して妻が別居したような場合には、その妻から夫に対する婚姻費用分担請求は信義則違反または権利の濫用として許されません。しかし、調停の場で夫がいくらこのような主張をしたとても、妻は不倫の事実を否定して婚姻費用を得ようとする場合が多くあります(相手が真実しか述べないとか、嘘をつかないとか思い込んでしまうのは危険な場合があります。)。調停委員の中にも、妻の(嘘の)言い分に乗っかって、「妻の不倫は婚姻費用の分担を免れるための夫の言い掛かりに過ぎない」と勝手に決めつけて、婚姻費用を支払うよう迫ってくるようなとても酷い人達も残念ながら一定数は存在します。そのような場合には、調停を一刻も早く不成立にして、審判手続きで、妻の不倫を主張・立証して裁判所の判断を仰ぐことも検討する余地があるかもしれません。