調停離婚
調停離婚
離婚の協議がまとまらなかった場合、いきなり裁判所に訴えを提起することはできず、まずは、家庭裁判所に調停を申立てる必要があります(これを「調停前置主義」といいます)。「調停委員」という人を間に入れて、合意できないか話し合いをします。「調停」で離婚の合意ができれば離婚(調停離婚)が成立します。「調停」でも離婚の合意ができない場合は、「調停」は終了します。
なぜ、調停前置主義という建前がとられているのか。現代裁判法体系10親族・67頁(鈴木経夫著、新日本法規出版)では、その理由について以下のように解説されています。
- ①婚姻が成立するのは、形式的には契約であるけれども、夫婦の関係には、本来的に非合理、感情的なものが含まれている。したがって、夫婦の間に紛争が生じたときには、その解決について人間的、感情的な側面を無視することはできない。第三者を間に入れて、あるいは心理調整の専門家の指導を受けて、離婚するか、修復を図るか、あるいは当面はその中間的な解決とするか等々、当事者同士で改めて検討するというようなことも調停前置の趣旨に含まれよう、
- ②夫婦関係が離婚という形で解消されるとしても、子との関係のように、親権者、監護権者となった親は勿論のこと、そうでない親でも、養育費の支払、養育費の支払、面接交渉等を通じて、離婚後も長期間親子として関係し合うというような側面も有している。過去の事実に法を適用するのではなく、将来を見通しての紛争の処理に配慮したのが、調停前置の制度である、
- ③協議離婚が成立しないケースについて、訴訟による解決を求める前に、家裁の調停による話合いでの解決を図り、まず、家裁の調停委員会(家裁調査官の関与も含めて)が間に入ることを予想しての、基本的には当事者の合意による紛争解決を目指している。
実際の調停においては、待合室も申立人と相手方は別々の部屋となります。調停委員とも、各々、交代で会います。したがって、顔を合わせることはありません。また、弁護士に事件を依頼した場合でも、弁護士とともにご本人が出席する必要があります。
調停委員には有識者の方々が選任されています。とても、素晴らしいお人柄で、確かな見識をお持ちの方も多くいらっしゃいます。逆に、「いくらなんでも、この人はちょっと、どうですかねえ・・(涙)」と思えてしまうような難のある方も全くいないわけではありません。