審判離婚
審判離婚
「家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる(家事事件手続法284条1項本文)。調停が成立しない場合にも様々な場合があります。中には、調停を成立させることはできないが、離婚訴訟を経るまでもなく離婚を成立させても差し支えない場合があります。
例えば、離婚の合理は成立しているが当事者の一方が病気などの理由で調停期日に出頭することが困難になったような場合があります。あるいは、期日が重ねられて後、突如として当事者の一方が出頭しなくなったが、これまでの経緯からして、離婚することには、まず異議はないであろうと認められる場合があります。そのような場合にまで、離婚訴訟を提起しなければならないとすると当事者や裁判所の負担が大きくなります。そこで、裁判所が職権で審判することができるとされています。
また、本国法では裁判離婚しか認められていない外国人の離婚の場合に審判離婚が利用される場合があります。すなわち、離婚の合意があり調停を成立させることができる状況の場合でも、本国法は裁判離婚しか認めていない場合は、その国では日本で行われた調停離婚が承認されないケースもあるかもしれない(その場合は、日本では離婚が認められても、本国では離婚は認められないことになってしまいます)として審判離婚を利用される場合もありえます。
もっとも、調停離婚についても、調停調書中に「確定判決と同一の効力を有する」旨の条項を入れておけば、裁判離婚しか認めていない国においても離婚は承認されるから問題ないとして、このような場合にまで審判離婚する必要はなく調停離婚を成立させればよいという考え方も指摘されています。