裁判離婚
裁判離婚
協議離婚もできず、調停も不成立の場合、離婚を望む人は家庭裁判所に「離婚訴訟」を提起します。「調停」をしないで、いきなり「離婚訴訟」を提訴することは原則として認められず、まずは調停を行う必要があります。訴訟手続きで離婚が成立するパターンとしては、判決離婚・和解離婚・認諾離婚があります。
判決離婚では、民法に定められた離婚原因の存在を立証することができた場合のみ離婚が認められます。離婚原因としては、①不貞、②悪意の遺棄、③生死不明3年以上、④強度の精神病、⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事情があります。
和解離婚とは、いわば、裁判上で協議離婚が成立する場合です。
認諾和解とは、被告が、原告の離婚請求を認めて争わない場合に成立する離婚です。
中国の裁判離婚と比較してみますと、中国婚姻法32条1項では「男女の一方が離婚を求める場合は、関係部門が調停を行うか、又は直接人民法院に離婚訴訟を提起できる」、同2項は「人民法院は離婚事件を審理するにあたり、調停を行わなければならない」と規定されています。上記32条第1項の関係部門の調停とは、当事者の所属単位、当該地域の大衆団体(例えば、共産党青年団、労働組合等)及び人民調停組織による調停をいいます。
もっとも、これは必ずしも必要的な手続きではなく、当事者が離婚問題につき人民法院に対して直接訴訟を提起することを妨げてはならなし、人民法院も、関係部門の調停を経ていないことをもって離婚訴訟の受理拒否の理由としてはならないとされています[以上につき、「中国の家族」(陳明侠著、黒木三郎監修、西村幸次郎・塩谷弘康共訳、敬文堂)150~151頁]。
関係部門の調停の結果、①調停和解②協議離婚の成立、③調停の無効の場合があります。③の場合は、人民法院に提訴します。人民法院は、離婚事件を受理した後、必ず調停手続を経なければならず、調停が不成立のときに初めて判決することができる(同上152~153頁)。関係部門の調停は任意的ですが、人民法院の調停(裁判官による調停)は必要とされています。
人民法院の調停の結果、①和解が成立したり、原告が訴えを取り下げる場合、②協議離婚が成立する場合、②調停不成立の場合があります。③の場合は、人民法院によって(離婚を認めるか、それとも、認めないかの)判決が下されます。日本の場合は、裁判所に訴えを提起する「前」に、調停を申し立てる必要がありましたが、中国の場合は、訴えを提起した「後」に、判決に先立って、まず調停が行われるという点で違いがあります。また、日本にはない「関係部門の調停」制度が設けられています。