会社の上司と不倫をしてしまったが、子どもの親権と慰謝料を獲得したケース
- 不倫・浮気
依頼者:女性
年齢:30代
相談前の状況
夫は、仕事が忙しいことを理由に家事育児に非協力的で、子どもが夜泣きをした時も、「うるさい、黙らせろ!」と機嫌が悪く、夫婦仲は冷え切っていた。職場の上司が親身になって話を聞いてくれ、何度か飲みに行く中で、一度だけ関係を持ってしまった。夫から、「不倫をするようなやつは母親失格だ。おまえに子どもの親権は渡さない。慰謝料も請求する。」と言われている。
相談後の状況
離婚調停手続の中で、家事も子育ても妻が一手に担っていたことから、親権は妻が取るべきとの主張を展開した。また、妻が職場の上司と関係を持つよりも前に、夫のモラハラ的態度により夫婦関係は既に破綻していたことから、妻から夫に対して離婚慰謝料を請求した。夫は、妻と妻の不倫相手に対して慰謝料を請求してきた。離婚調停では、双方の事情を考慮して、親権は妻が持つことになり、また、夫から妻に対して慰謝料100万円を支払うとの内容で解決した。
弁護士のコメント
・不貞行為の相手に対する損害賠償請求問題を考える際には、最高裁平成31年2月19日判決が出た以上、不貞行為に基づく損害賠償請求を問題としているのか、離婚慰謝料として損害賠償請求を問題としているのかを意識して区分けすることが必要となるでしょう。
・モラハラ(精神的圧迫)の場合に認められる損害賠償額は、50万円程度~200万円(平均93万円)とする文献もあります。行為の種類や態様、頻度(回数)、継続期間、一方的な行為か等を考慮して決定されます
・モラハラの事案で特徴的なのは、自己に対する過度な高評価(飽くまでも主観的なも
のであり、客観的評価が伴っているかは全く意にとめない)と相手を奴隷ように支配
しようとすることが挙げられます。自分に対する自分自身の思い込みによる高評価の
反面として、相手に対して侮辱的な発言を繰り返したり(お前は馬鹿だから俺の言う
ことだけを聞いていればよい等)、相手を支配しようとして、威嚇的な言動に及んだり、相手の行動を過度に束縛しようとしたりします。
・自分に対する過度な高評価(自分が一番優秀だと勘違い等しているが)故に、相手の代理人に対しても、それによって後でどのような法的責任を問われるかも深く考えずに、盛んに攻撃を加えようとする人もいます。