妻が子どもを連れて行ってしまったが、柔軟な面会交流が認められた事例
- 面会交流
依頼者:男性
年齢:40代
相談前の状況
妻が、別の男性と不倫したことを発端に、夫婦仲が悪くなり、妻が子ども(6歳男児)を連れて実家に帰ってしまった。妻との離婚は仕方がないが、父親として子どもをとても可愛がってきたので、親権を取りたい。親権が取れないのなら、できるだけ自由に子どもと面会ができるようにして欲しい。
相談後の状況
親権を争った場合、子どもの年齢や、同居していた時に誰が子どもの養育を担っていたか等が問題とされ、父親の方が不利になってしまうこと、調停や訴訟で争うと時間がかかり、依頼者の希望である子ども達との自由な面会がなかなか叶わないことから、親権は妻に譲り、「自由な面会交流」を獲得目標とした。面会の日程調整など、当事者間では感情的になってしまうので、夫と妻の双方の弁護士が間に入り、夫と妻それぞれの真意を伝えつつ、事務的に日程調整等を行ったことで、早期にスムーズに面会交流をすることができた。離婚協議書上も、今後の自由な面会交流を獲得できた。
弁護士のコメント
・親権に争いがある場合は、監護の実績・継続性が極めて重視されます。もっとも、監護が違法な奪取により開始された場合は、監護の実績は後退します。もっとも、離婚前に同居中に、一方の親が、他方の親の同意を得ずに子を連れ出して単独で監護を開始する場合、従前の主たる監護者(監護状況に問題なし)が子を連れ出したのであれば、多くの場合、違法性は認められないとされています。この場合は、従前の監護を継続するものであり、それが子の利益に適うとされるからです。
・面会交流については、近時、あらたな運営モデルが提示されるなどしていますので、
それを踏まえた対応が必要になってくるかもしれません
・面会交流の担保ですが、面会交流が実現されない場合に、その腹いせに、例えば養育費の支払いをストップするといったことは認められていません。面会交流させる旨の審判や面会交流を認める旨の調停が成立しているにも関わらず、その履行を拒否した場合は損害賠償請求の問題が生じる可能性があります。また、審判の主文の書き方や調停条項の定め方によっては強制執行(間接強制)が可能とされています。