外国人にも日本の法律が適用されますか? | 離婚問題に精通した弁護士による離婚相談

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外国人にも日本の法律が適用されますか?

準拠法

私は日本に住んでいる中国人ですが、夫も中国人で日本に住んでいます。私達は中国で結婚して、日本に来ました。夫とは離婚したいと思っています。しかし、夫は離婚に応じてくれません。調停も不成立でした。そこで、私は日本の裁判所に離婚の訴えを提起しました。
1 日本の裁判所で裁判を行うことからすると日本の民法が適用されるようにも思いますが、私達夫婦はともに中国国籍なので中国法が適用されるように思います。どちらの法律に従うのでしょうか。
2 私たち夫婦には1歳の子と3歳の子がいます。子ども達の国籍は中国です。私も夫も子の直接の養育者となることを希望しています。私は養育者になれるでしょうか。

回答1

どちらの法律が使われるかは法律に定めがあります。夫婦の本国法が同一であるときは、その法律によるとされています。本国法というのは、国籍国の法律のことです。あなた方夫婦はともに中国国籍を持っておられるので、中国婚姻法が適用されます(なお、国全体に同じ法律が適用されていない国の場合は、夫婦の国籍が同じでも、本国法が共通であるとは言えない場合があります。)。ですので、離婚できるかどうかは中国婚姻法によって判断されます。そして、中国婚姻法32条3項では、以下のように離婚原因を定めています。1号:重婚又は配偶者を有する者が他人と同棲した場合、2号:家庭内暴力または家族(家庭成員)を虐待した場合、3号:賭博・麻薬使用等の悪習を有し、度々指導しても改めない場合、4号:感情の不和により満2年別居している場合、5号:その他夫婦感情の破綻が生じている情況にある場合。ただし、妻が妊娠期間中、分娩後1年以内であるとき、又は妊娠中止後6か月以内であるとき、夫は離婚を提起できない」(同34条前段)とされています。

この点、西漢時代に法制化され、唐、宋、元、明、清に継承されてきたものとして「七出」「三不出」の制度がありました。「七出」とは「父母に従わざるは出、子無きは出、淫らなるは出、嫉妬するは出、悪疾なるは出、多舌なるは出、窃盗せるは出」のことを言い、息子の妻は、このうちのどれか一つに該当する場合は、夫と家長は妻を離婚することができるが、「三不出」(1.舅、姑のために3年間喪に服したとき、2.妻を娶ったとき夫家は貧賤であったが結婚後に富貴になったとき、3.妻に帰る実家がないとき)に該当する場合には離婚することができないとするものです。

また、国家による強制的離婚制度として「義絶」(夫婦の恩義が断絶すること)が定められていました。すなわち、1.夫が妻の祖父母、父母を殴り、妻の外祖父母、伯叔父母、兄弟、舅、姉妹を殺した場合、2.夫婦、祖父母、父母、外祖父母、伯叔父母、兄弟、舅、姉妹が互いに殺し合った場合、3.妻が、夫の祖父母、父母を殴り罵り、夫の外祖父母、伯叔父母、兄弟、舅、姉妹を殺した場合、4.妻が夫の麻以上の親族と、夫が妻の母と姦通した場合、5.妻が夫を殺そうとした場合のどれは一つに該当する場合は必ず離婚しなければならないとされていました。しかし、このような封建的離婚制度は、1949年の新中国建設によって打ち壊されたとも指摘されています。その後の婚姻法は、革命根拠地で実施されていた「離婚の事自由を確定する。およそ男女の双方が離婚に同意した場合は、即座に離婚する。男女の一方があくまでも離婚を求める場合もまた、即座に離婚する」(中華ソビエト共和国婚姻条例)を基礎として、「男女平等の前提のもと、感情の完全な破綻を原告とする自由離婚制度を最大の特徴とする」旨が指摘されています[以上につき、「中国の家族法(陳明敬著、黒木三郎監修、西村幸次郎・塩谷弘康共訳:敬文堂)126~129頁]。

回答2

親子の法律関係については、「父又は母の本国法と子の本国法が同一の場合は子の本国法」が準拠法となります(通則法32条)。ご相談の場合、父母と子はいずれも中国国籍であることから、子の本国法である中国法が適用となります。中国婚姻法においては、満2歳以下の子は一般に母親の下で生活するとされています。満2歳以上の子については「父母の協議が調わない場合は、人民法院が子の利益および父母の実際の状況に基づいて決定し、判決する」とされています。なお、日本の家庭裁判所は、家事審判法9条乙類4号の審判により、この「判決」を代行できるとする裁判例も存在します。

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