婚約破棄により慰謝料50万円が認められた事例
- 男女トラブル
依頼者:女性
年齢:20代
相談前の状況
彼氏から、「将来、結婚しよう。」と言われて、ティファニーの指輪を買ってもらった。相手の実家でほぼ同棲状態となり、相手の両親も公認の仲であったが、彼氏から、突然、他に好きな人ができたので別れて欲しいと言われた。自分は、親や兄弟、友人にまで、結婚すると報告し、彼氏も挨拶に来てくれていた。突然のことにとても傷ついた。慰謝料を請求したい。
相談後の状況
婚約破棄を理由に、彼氏に対して慰謝料請求の交渉を行ったが、彼氏は、「結納もしていないし、結婚式場の予約もしていないから、婚約はしていない。」と主張して解決せず、やむを得ず慰謝料請求の裁判を起こした。裁判において、最近の婚約は必ずしも結納という形を取っていないこと、ティファニーの指輪が高価であり,明確に「結婚しよう」と言われ、依頼者はこれを承諾する返事をしていること等から、婚約は成立していることを主張したところ、慰謝料50万円での和解となった。
弁護士のコメント
婚約が成立しているか否かを判断するに際しては、外形的事実が指標とされます。例えば、①結婚することを親族に伝えていたとか、②結婚式に向けて式場の予約等の準備を行っていた・招待状の発送を行っていたとか、③婚約指輪の交換、④結納、⑤結婚後に同居するための住居探しをしていた等の種々の要素を考慮して判断されます。外形的事実が存在しない場合には、婚約の成立は相当慎重に判断されざるを得ません。
婚約破棄に似てあらざるケースとして、男性が結婚する意思もないのに、あたかもその意思があるかのように装って性交渉を行い、交際女性を妊娠・中絶させたような場合には、貞操権侵害、人格権侵害、妊娠等による不利益軽減・解消義務違反等による損害賠償責任が問題とされることもあり得ます。不貞相手との関係でも問題となります。従いまして、離婚する気もないのに、妻と離婚する予定であると嘘をついて不貞相手と交際を継続した場合には、妻から損害賠償請求されるだけでなく、場合によっては不貞相手からも損害賠償請求されるリスクもあり得ることになります。