離婚すると在留資格はどうなりますか? | 離婚問題に精通した弁護士による離婚相談

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離婚すると在留資格はどうなりますか?

在留資格

私は「日本人の配偶者等」の在留資格で在留していますが、夫は、仕事もしないでぶらぶらしているばかりか、酒浸りの上、ギャンブルにものめり込んで、家庭を全く顧みなくなりました。そこで、夫と離婚しようと思っています。離婚調停中や離婚訴訟中に「日本人の配偶者等」の在留期間が到来した場合、在留資格はどうすればよいでしょうか。また、私は、離婚した後も日本に住みたいと考えています。離婚した後の在留資格はどうすればよいでしょうか。

回答1

まず、離婚調停中や離婚訴訟中に「日本人の配偶者等」の在留期間が到来した場合ですが、その場合は、手続きが係属していることを示す係属証明書を添付して、「日本人の配偶者等」の在留期間の更新許可申請を行います。

回答2

在留資格を変更しない限り、日本国外に退去する必要があります。また、離婚した日から14日以内に、法務大臣に対してその旨を届け出る必要があります。更に、離婚後6か月間以上経過してしまうと「配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6月以上行わないで在留している」として在留資格取消の対象になってしまいます。もっとも「在留資格取消の対象」となる場合であっても、必ず取り消されるという訳ではありません。しかし、いつ取り消されてもおかしくない状態であることに代わりありません。在留期限が例えば1年なり2年残っていたとしても、取り消される場合があります。

加えて、たとえ在留資格取消とならない場合でも、離婚後3か月以上経過した場合には、この「離婚後3か月以内に在留資格変更を行わなかった」こと、それ自体を理由としてその後に行った他の在留資格への在留資格変更許可申請が不許可とされる場合がありえます。そこで、速やかに他の在留資格に変更する必要があります。

1 「永住者」

永住資格の要件を具備している場合は、「永住者」への資格変更を検討します。永住者は在留期間の制限がありません。①日本人と結婚して「日本人の配偶者等」で3年以上在留し、②日本国籍の子供を養育している場合、③その子が未成年の場合は「定住者」へ変更が可能です。離婚しても「定住者」への変更ができます。その他の要件としては、①素行が善良であること、②独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること、③申請者の永住が日本国の利益に合致することの全てを満たす必要があるとされています。

2 「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」

学歴、実務経験、資産等から「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」の在留資格に変更できる場合があります。但し、これらの在留資格は、活動できる範囲に制限があります。また、「技術・人文知識・国際業務」の場合は、専攻科目と従事しようとする業務との関連性が要求されます。もっとも、大学を卒業している場合には、この「関連性」は緩やかに判断される傾向にあります。他方、専修学校を卒業している場合は、「関連性」が厳格に判断されます。したがって、大学卒業の場合は、これらの資格への変更を検討してもよいかもしれません。ただし、「特定技能」が創設されたことにより、「技術・人文知識・国際業務」の該当性の判断は厳格になる可能性も指摘されています。なお、中国の「成人教育機関」には少し注意が必要です。「成人教育機関」の卒業証書は一見して大学卒の卒業証書に見える場合もありますが、そこに「成人教育」との記載がある場合は「大学」とは扱われません。他方、「普通高等学校」の記載がある場合には「大学」卒業と扱われます。

3 「留学」

更に、日本語学校、専門学校、大学へ入学したような場合には「留学」への変更可能性があります。ただし、卒業前や退学となったような場合には、たとえ日本人と再婚しても、「留学」の在留資格から「日本人の配偶者」への在留資格の変更が認められない場合がありえますので、この点への注意が必要になります。

4 「定住者」

加えて、以下の2つの場合に、定住者への在留資格の変更が認められる場合があります[以下につき「新版詳説入管法の実務」(山脇康嗣著、新日本法規出版、特に515~522頁)]。

(1)①日本人と結婚して、3年以上、正常な結婚生活を続けていて、②独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有し、③日常生活に不自由しない程度に日本語を使うことができて、④税金、年金や国民健康保険料等を支払っている場合は「定住者」への在留資格の変更が認められる場合があります。実子がいなくても、実態の裏付けのある婚姻期間が3年程度以上継続していた事実があれば、他の要件を満している場合は「定住者」への在留資格変更が認められることがあります。離婚に至った理由や事情も考慮されます。配偶者のDVが離婚原因であるような場合は、「定住者」への在留資格変更が認められる可能性がより一層高くなると指摘されることもあります。

(2)また、未成年かつ未婚の日本人の実子(嫡出子のみならず非嫡出子も含まれます。子の出生時に父又は母が日本国籍を有していれば足り、実子自身が日本国籍を有していることは必要ありません。ただし、日本人の父親から認知されていることが必要です。)を扶養する外国人親で、①日本人の実子の親権者であり、②現に、相当期間、その実子を監護養育しており、③独立生計を営むに足りる資産又は技能を有している場合には、「定住者」(1年)への在留資格の変更が可能となります。この場合は、結婚してから3年間経過していなくても、定住者への在留資格の変更が認められることがあります。

(3)出入国在留管理庁への提出書類としては、①実子との身分関係を示した書類、②親権者である旨を証する書類(戸籍謄本、親権者の指定のある離婚協議書や調停調書等)、③実子の養育状況に関する書類(住民票、通園証明書、在学証明書等)、④職業及び収入に関する書類(確定申告書、課税証明書、給与明細、預金通帳、在職証明書等)、⑤日本国内に居住する身元引受人の身元保証書が必要とされています。

なお、念の為に申し上げておきますと、定住者の在留資格が認められるのは、あくまでも、日本人の実子が日本で安定した生活を送ることができるようにすることを目的とするものです。少なくとも第一次的には、親権者自身の生活の安定を目的とするものではありません。ですので、在留資格の変更許可申請の局面において、実子の生活の安定との繋がりを明確にしないまま、専ら、親権者自身の(固有の)事情や親権者の人権保護・利益保護ばかりを強調しても、あまり有益ではないかもしれません。

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