離婚慰謝料が問題になる場合
- 慰謝料請求
第1 はじめに
離婚慰謝料といいますと、まず思い浮かべるには不貞行為ですが、不貞行為以外の理由でも離婚慰謝料が問題となる場合があります。
第2 離婚慰謝料が問題となる場合
1 離婚慰謝料が問題となる場合
一般的には、
①不貞行為、
②暴力、
③暴言(物の破壊も含む)、
④精神的圧迫(名誉棄損、プライバシー侵害、無視、パートナーを一段劣った存在として扱う、自分勝手な価値観や都合を押し付ける態度に終始し、パートナーの
心情に全く顧みない等)、
⑤悪意の遺棄(正当な理由なく別居して婚姻費用を支払わない等)、
⑥金銭面でのだらしなさ(浪費・多額の借金・生活費を渡さない等)、
⑦子の連れ去りや面会交流阻害、
⑧犯罪行為(逮捕や罰金に至った場合)、
⑨正当な理由のない性交渉拒否、
⑩性格の不一致、
⑪嫌がらせ等があります。
2もっとも、これらが存在したとしても、婚姻関係破綻の原因となっていない場合には、
離婚慰謝料を求めることは困難となる場合もありえます。したがって、例えば、妻が夫に
対して、夫の人格を否定するような発言があったこと自体は認めつつも、それが婚姻関係
破綻の原因ではないとして、離婚慰謝料請求が認められない場合もありえます。
以下では、よく問題にされる不貞行為について見ていきます。
第3 不貞行為に基づく慰謝料請求について
1 離婚慰謝料の原因としての不貞行為は、肉体関係や性的関係がある場合には限られません。
度を過ぎた親密な交際等、婚姻共同生活を破壊に導く行為は不貞行為となりえます。
2 実際の事件では、メールやLINEの遣り取りが問題とされる場合がままあります。法律相談でも、よく聞かれます。
しかし、一概には何とも言いようがありません。
この場合は問題を二つの局面に分けて考えることができるかもしれません。すなわち、
①パートナー以外と親密なメール・LINEの遣り取りをしたこと自体が不貞行為と言えるのかという問題と、
②そのような親密なメール・LINEの遣り取りから肉体行為や性的行為の存在を推認できるのか、という問題に分けて考えることができるかもしれません。
3 不貞行為を理由とする離婚慰謝料の金額としては、ある論文では、判決における平均認容額は220万円程度と分析しているものもあります。
不貞行為の回数・期間・頻度、不貞相手の人数の多寡・不貞行為発覚後の態度の悪さ[開き直ったり、パートナーに責任転嫁する(俺が不貞をしたのはお前のせいだ)等]、
不貞行為時の夫婦関係の円満さの程度等を考慮していると指摘されることもあります。
4 配偶者が第三者と不貞行為をした結果、その夫婦が離婚するに至った場合、他方配偶者は、不貞相手たる第三者に対し、原則として、離婚慰謝料を請求することはできません。
離婚するか否かは、夫婦間で決せられるべき事柄であることが、その理由とされています。なお、これとは別の問題として、不貞相手たる第三者に対しては破綻慰謝料の請求は可能とされています。