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コラム

読書ノート(備忘録)の続き2(「中国の家族法」陳明侠著、黒木三郎監修、西村修次郎・塩谷弘康訳:敬文堂)

○1980年婚姻法

結婚制度

第1 結婚の意義

結婚=婚姻の成立(婚姻の締結)とは

→男女両性が法律に規定する条件および手続に照らして国家登記機関によって、夫婦関係として確立する行為

1 結婚は社会的な行為である

結婚(更には出産)によって新しい社会関係が生まれ、一定の権利義務関係が生じ、社会に対する責任が生じる。

2 結婚は法律行為である

①婚姻関係の成立は、一定の社会的条件の下での法定条件、及び法定手続に合致しなければならない。

②一旦、婚姻関係が成立すると、直ちに双方は一定の権利義務関係を持つこととなる。

③法定手続によって結合する婚姻関係は、一定の法定手続を経ないで任意に解消してはならない。

第2 結婚の条件

1 必要条件

(1)双方の完全な自発的意思によらなければならない

①当事者の共通の願望に基づくこと

②父母またはその他の第三者の願いではないこと

③条件(金銭、地位、住宅等)を付けて同意を強いるものではないこと

(2)法定結婚年齢に達していること

(3)一夫一婦制の原則に合致していること

婚姻登記規則第6条「既に配偶者がいる場合は登記してはならない」

2 禁止条件

(1)直系血族又は3代(4親等)以内の傍系血族は結婚を禁止する(婚姻法6条1項)

(2)結婚当事者双方に結婚禁止の疾病があってはならない

第3 結婚登記手続きの履行

1 結婚登記手続を履行する重要性

・登記を行うことにより、婚姻関係は国家の確認・承認を得ることができ、国家の法律の保護を得られる。

・国家の強制力により、社会主義的婚姻家族制度の実行を保障する。

2 婚姻登記の手続

(1)婚姻登記機関

①婚姻登記を取り扱う機関

農村:郷、民族郷、鎮の人民政府

都市:町事務所又は区人民政府、区を設けていない市の人民政府

*要するに、結婚の申請の審査・承認に責任を負うのは基層人民政府の職権

②登記機関の管轄区分

結婚を申請する当事者の一方の戸籍を準拠する。

(2)結婚登記の手順

ア 申請

【第1ステップ】

・本人の身分証明書又は戸籍証明書[所属単位又は村民委員会(住民委員会)の発行した本人の生年月日、民族および婚姻状況を書いた証明]を持参する

(*1)

所属単位又は住民委員会(村民員会)が証明書を発行する目的は、当時者が出生年月、民族、婚姻状況等の情況を説明するためである。婚姻問題については上述の関係単位の承認又は同意を必要とせず、更に、法律の規定を超える、いかなる付加条件も自ら定めることができない。従って、例えば、ある単位又はある大隊若しくは郷政府が、当事者に仲人を探して結婚式の立会人になることを要求して結婚登記紹介状を交付し、その登記を許可する等の行為は、婚姻法の規定に違反するものである。

(*2)

単位又は他人の干渉を受けて必要な書類を得られないときでも、婚姻登記機関は、調査のうえ婚姻法及び本規則の規程に合致していることが明らかになった場合は、登記を認め、結婚証を交付すべき

・離婚歴がある者が再婚する場合は、更に離婚証明書を持参し、共に、一方(男の側又は女の側のいずれでも可)の戸口所在地の婚姻登記機関に出頭して婚姻登記を申請すべきであり、他人(結婚当事者の一方を含む)に手続きを委任してはならない

【第2ステップ】

双方が自ら婚姻登記機関に前述の証明書を提出

登記機関の求めに応じて登記機関において結婚申請書を記入

登記機関の受理手続

・登記機関は申請を受理するに際し、婚姻法中の婚姻に関する規定及び結婚禁止に関する規定を当事者双方にはっきり説明する。

・申請者は、結婚に関する各種の状況をありのままに述べる

⇔真の状況を隠して詐取した「結婚証」は回収され、婚姻登記機関によって婚姻の無効が宣言される。情状に基づき、批判教育を行い、又はその行政責任及び刑事責任を追及する。

イ 審査

①真剣に審査する

②審査事項

・自発的意思から出たものか

・強制的請負があるかないか

・法定結婚年齢に合致しているか否か

・早婚があるか否か

・一夫一婦制の原則に合致しているか否か

・重婚があるか否か

・近親又は結婚すべきでない疾病を患っているか否か

③審査の方法

・当事者に訊問

・証拠資料を提出させる

・大衆と当事者双方の所在単位を通してはっきりと調査する

・再婚する者に対しては、配偶者が既に死亡しているか否か、既に離婚しているかどうかを調査する

・既に離婚しているのであれば、その離婚証、法院の調停文又はすでに効力を生じている離婚判決文を調べる。

ウ 登記

・婚姻法及び婚姻登記規則に合致する結婚申請

⇒登記を認め「結婚証」を発行する。

・婚姻法及び婚姻登記規則に合致しない結婚申請

⇒登記は認めない。登記しない理由を説明し、婚姻法の宣伝教育を行う。

・婚姻登記機関と当事者間で登記事項について争いが生じたとき

⇒一級上の人民政府又は現地の人民法院に報告して処理することができる

 

監修

河合・藤井法律事務所

代表弁護士河合基裕

法律事務所に相談に来られる方は、思わぬトラブルに巻き込まれ、不安を抱えておられることと思います。当事務所では、ご相談者さまとの信頼関係を大切にし、ともによりよい解決を目指して参ります。 お力となれるよう精一杯、務めて参りますので、よろしくお願い申し上げます。

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