コラム | 離婚問題に精通した弁護士による離婚相談

06-6926-4526,受付時間 平日10:00-17:00(土日祝休業) 24時間WEB受付中
解決事例画像

コラム

妻の不貞行為を原因とする離婚について

  • 離婚全般

1 婚姻費用について

(1)有責配偶者である妻からの婚姻費用請求(生活費の請求)については、信義則違反や権利濫用を理由に認められない場合があります。

いくつかの裁判例でも認められています。

もっとも、この場合でも、妻が子を引き取っている場合は、子の生活費相当額(養育費相当額)は支払義務があります(母親の不行跡により子の養育費が減額さ

れることはありません)。

(2)ただし、実際の調停の場では、上記(1)の話を調停委員にすんなりと受け入れてもらえる訳ではありません。調停手続きでは、妻側が、自己の不貞行為を頑強に否定することがありえます。それにとどまらず、夫から暴力・暴言を受けていた、というような事を話し出すこともありえます。調停の場では、そのような妻の話のみが受け入れられて、夫の主張は、婚姻費用の支払いを免れるための言い訳にすぎないと受け止められてしまい、婚姻費用を支払うよう説得される場合もありえます。

ですので、客観的証拠を有している場合には、調停手続は早々に見切りをつけて不成立として、審判手続きで判断を求めることが適切な場合もありえます。

(3)有責性に関する証拠としては、肉体関係までを推測できるか微秒な場合でも、知人や同僚との交際として社会的に認められ程度を大幅に超えて、非常に親密な交際を行っていると認められるような場合や、不貞行為にあるとみられてもやも得ない程度にあると認められる場合は、有責性ありとされる場合があります。

2 慰謝料請求

不貞行為を行った妻、及び、不貞行為の相手に対し、損害賠償請求することができます。

3 財産分与

不貞行為を行った妻が夫に支払うべき慰謝料額を、夫が当該妻に対して支払う財産分

与額から控除することが認められます。

4 離婚請求

不貞行為を行った妻からの離婚請求についても、

①相当期間に及ぶ別居

②未成熟子の不存在

③離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情

が認められないことが必要とされます。

もっとも、近時の裁判例では、未成熟子が存在する場合でも、不貞行為を行った妻からの離婚請求を認めた例もあります。

5 親権

原則として不貞行為があったということのみで、主たる監護者が監護権者として不適

切であると判断されることはありません。不貞行為により、監護が疎かになり子に悪影

響が及んだのか、子の性別、年齢(不貞行為の意味を理解しているか、母による監護を

必要とする年齢か)等が考慮されます。また、母親が不貞行為の相手の関係を継続する

意思を示している場合や不貞行為の態様が悪質である場合(例えば、子どもが在宅して

いるときに、自宅にて性的関係を複数回持ったような場合)には、母親に監護権が否定

される場合があります。

 

 

監修

河合・藤井法律事務所

代表弁護士河合基裕

法律事務所に相談に来られる方は、思わぬトラブルに巻き込まれ、不安を抱えておられることと思います。当事務所では、ご相談者さまとの信頼関係を大切にし、ともによりよい解決を目指して参ります。 お力となれるよう精一杯、務めて参りますので、よろしくお願い申し上げます。

その他のコラム

台湾の親族法について(その1)

  • 台湾の親族法

はじめに 台湾の親族法につき、自分の備忘録としてまとめてみました。 参照・引用した文献は ①台湾法入門[蔡秀卿・王泰升編著:法律文化社] ②中華民国親族相続法[劉振榮、坂本廣身著:令文社] ③戴炎輝「中華民国婚姻法」宮崎孝治郎編『新比較婚姻法』115頁~(頸草書房)です...

詳細を見る

読書ノート(備忘録)の続き2(「中国の家族法」陳明侠著、黒木三郎監修、西村修次郎・塩谷弘康訳:敬文堂)

○1980年婚姻法 結婚制度 第1 結婚の意義 結婚=婚姻の成立(婚姻の締結)とは →男女両性が法律に規定する条件および手続に照らして国家登記機関によって、夫婦関係として確立する行為 1 結婚は社会的な行為である 結婚(更には出産)によって新しい社会関係が生ま...

詳細を見る

読書ノート(中国家族法関係):備忘録

・中国家族法問答解説:加藤美穂子:日本加除出版 ・現代中国法入門(第8版):高見澤麿・鈴木賢・宇田川幸則・坂口一成:有斐閣 ・現代中国法の理論:浅井敦:東京大学出版:162頁以下 ・中華ソビエト共和国・中国解放区 婚姻法資料(再訂版):中国革命根拠地法制資料第1集:福島正 ...

詳細を見る

養育費を支払って欲しい(改正民事執行法も含めて)

1 はじめに 夫と離婚した。離婚後も養育費を支払ってくれる約束だった。しかし、元夫は、「新車を購入したのでローンの支払いがある」「親に小遣いを渡している」「趣味でお金がかかるから余裕がない」など、色々と理由をつけて養育費を支払ってくれないということがあります。あるいは、元夫と連絡が取れなくなっ...

詳細を見る

離婚問題に関するお悩みは、
離婚問題に精通した弁護士お気軽にご相談ください。

大阪西天満の河合・藤井法律事務所

06-6926-4526,受付時間 平日10:00-17:00(土日祝休業) 24時間WEB受付中
06-6926-4526,受付時間 平日10:00-17:00(土日祝休業) お問い合わせ