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コラム

妻の不貞行為を原因とする離婚について

  • 離婚全般

1 婚姻費用について

(1)有責配偶者である妻からの婚姻費用請求(生活費の請求)については、信義則違反や権利濫用を理由に認められない場合があります。

いくつかの裁判例でも認められています。

もっとも、この場合でも、妻が子を引き取っている場合は、子の生活費相当額(養育費相当額)は支払義務があります(母親の不行跡により子の養育費が減額さ

れることはありません)。

(2)ただし、実際の調停の場では、上記(1)の話を調停委員にすんなりと受け入れてもらえる訳ではありません。調停手続きでは、妻側が、自己の不貞行為を頑強に否定することがありえます。それにとどまらず、夫から暴力・暴言を受けていた、というような事を話し出すこともありえます。調停の場では、そのような妻の話のみが受け入れられて、夫の主張は、婚姻費用の支払いを免れるための言い訳にすぎないと受け止められてしまい、婚姻費用を支払うよう説得される場合もありえます。

ですので、客観的証拠を有している場合には、調停手続は早々に見切りをつけて不成立として、審判手続きで判断を求めることが適切な場合もありえます。

(3)有責性に関する証拠としては、肉体関係までを推測できるか微秒な場合でも、知人や同僚との交際として社会的に認められ程度を大幅に超えて、非常に親密な交際を行っていると認められるような場合や、不貞行為にあるとみられてもやも得ない程度にあると認められる場合は、有責性ありとされる場合があります。

2 慰謝料請求

不貞行為を行った妻、及び、不貞行為の相手に対し、損害賠償請求することができます。

3 財産分与

不貞行為を行った妻が夫に支払うべき慰謝料額を、夫が当該妻に対して支払う財産分

与額から控除することが認められます。

4 離婚請求

不貞行為を行った妻からの離婚請求についても、

①相当期間に及ぶ別居

②未成熟子の不存在

③離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情

が認められないことが必要とされます。

もっとも、近時の裁判例では、未成熟子が存在する場合でも、不貞行為を行った妻からの離婚請求を認めた例もあります。

5 親権

原則として不貞行為があったということのみで、主たる監護者が監護権者として不適

切であると判断されることはありません。不貞行為により、監護が疎かになり子に悪影

響が及んだのか、子の性別、年齢(不貞行為の意味を理解しているか、母による監護を

必要とする年齢か)等が考慮されます。また、母親が不貞行為の相手の関係を継続する

意思を示している場合や不貞行為の態様が悪質である場合(例えば、子どもが在宅して

いるときに、自宅にて性的関係を複数回持ったような場合)には、母親に監護権が否定

される場合があります。

 

 

監修

河合・藤井法律事務所

代表弁護士河合基裕

法律事務所に相談に来られる方は、思わぬトラブルに巻き込まれ、不安を抱えておられることと思います。当事務所では、ご相談者さまとの信頼関係を大切にし、ともによりよい解決を目指して参ります。 お力となれるよう精一杯、務めて参りますので、よろしくお願い申し上げます。

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