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コラム

読書ノート(中国家族法関係):備忘録

・中国家族法問答解説:加藤美穂子:日本加除出版

・現代中国法入門(第8版):高見澤麿・鈴木賢・宇田川幸則・坂口一成:有斐閣

・現代中国法の理論:浅井敦:東京大学出版:162頁以下

・中華ソビエト共和国・中国解放区 婚姻法資料(再訂版):中国革命根拠地法制資料第1集:福島正

夫、宮坂宏編訳

第1 中国婚姻法の沿革・歴史

1 婚姻法

(1) 新中国建国前

ア 1931年12月1日公布・施行 中華ソビエト共和国婚姻条例(瑞金)

「中華ソビエト共和国中央執行委員会第1回会議によって採択された婚姻条例に関する決議および婚姻

 条例」

➀決議

「封建的支配のもとにおいては、男女の婚姻は人間性を無視した野蛮なものであり、婦人が受ける圧迫

と苦痛は、男子のこれに比していっそう甚だしいものであった。労働者、農民の革命の勝利によっては

じめて、男女は経済的に解放の第1歩をふみだすことができたのであり、男女の婚姻もこれにつれて変

化し、自由をうるにいたった」(現代中国法の理論:浅井敦:東京大学出版:167頁、中華ソビエト

共和国・中国解放区婚姻法資料(再訂版):中国革命根拠地法制資料第1集:福島正夫・宮坂宏編訳:

26~27頁)。

②条例

・婚姻の自由の原則を確定し、全ての封建的婚姻制度(請負・強迫・売買・童養媳)の廃止(1条)

・一夫多妻制の禁止(2条)

・強迫による婚姻の禁止(4条)

・結納金、結納、嫁入道具の禁止(8条)

・離婚の自由の確定(9条)

・婚姻中の共同生活によって生じた債務の返済は、離婚後も男の責任とする(18条)

・離婚後の女の生活の扶助義務を男に課す(20条)

イ 1934年4月8日公布

中華ソビエト共和国婚姻法(延安):中華ソビエト婚姻法および中央執行委員会命令

(*)

・1931年中華ソビエト共和国条例は、1934年の中央執行委員会によって廃止されている。

・第2回全国ソビエト大会ののち、中央執行委員会によって採択されたものであり、代表大会そのもの

によって採択されたものではない。

ウ 1939年4月4日陝甘寧辺区婚姻条例(*)陝甘寧辺区=陝西省の根拠地

エ 1942年1月5日晋冀魯予辺区婚姻暫行条例(*)晋冀魯予=山西・河北・山東・河南

オ 1943年2月4日晋察冀辺区婚姻暫行条例(*)晋察冀=山西・チチハル・河北

カ 1943年1月9日陝甘寧辺区抗日[軍人留守]家族離婚処理弁法

キ 1944年3月20日修正陝甘寧辺区婚姻暫行条例

ク 1946年4月23日第3期参議会第1回大会通過陝甘寧辺区婚姻条例

(2)新中国建国後

ア 1950年5月1日公布、施行 婚姻法:中国建国後の最初の婚姻法

・1950年4月13日、中央人民政府委員会第7回会議によって採択

イ 1950年中間人民共和国婚姻法の起草経過と起草理由に関する陳紹禹報告(関於中華人民共和国

婚姻法起草経和起草理由的報告)

:立法権を有する当時の中央人民政府委員会において、婚姻法とともに法律を制定するのと同一の手続

で採択されたものである。一種の立法解釈として、法律上普遍的な拘束力を有する、と指摘されてい

る。

ウ 1951年9月26日

婚姻法執行状況の検査に関する政務院指示(政務院関於検査婚姻法執行状況的指示)

:法令の一部となっている

エ 1951年9月26日

上記指示を真面目に執行することに関する最高人民法院と司法部の連合通知(最高人民法院、司法部関

於認真執行中央人民政府政務院「関於検査婚姻法執行情況的指示」的通知)

:法令の一部となっている

オ 1951年9月30日

区郷幹部の婚姻法に対する学習を強化し、婚姻登記制度を重視することに関する内務部指示(内務部関

於加強区郷(村)幹部対婚姻法的学習・重視婚姻登記制度的指示)

:法令の一部となっている

カ 1951年12月25日

婚姻問題についての若干の誤りを糾すことに関する最高人民法院、司法部および内務部の連合指示(最

高人民法院、司法部、内務部関於「糾正幾個有関婚姻問題的錯誤」的指示)

:法令の一部となっている

キ 1953年2月1日

婚姻法の貫徹に関する政務院指示(政務院関於貫徹婚姻法的指示)

:法令の一部となっている

ク 1953年3月19日

婚姻問題に関する法制委員会の解答(法制委員会有関婚姻問題的若干解答)

:法規の意味内容と制度の実際的運用面において生じる疑義に対して政府の公式見解を表明した文書

ヶ 1955年6月1日公布 婚姻登記辦法

コ 1955年8月15日

婚姻登記上の二、三の問題に対する内務部の解答(内務部対有関婚姻登記若干問題的解答)

:法規の意味内容と制度の実際的運用面において生じる疑義に対して政府の公式見解を表明した文書

サ 1980年婚姻法

➀急激な人口増加に対応すべく計画出産を義務づけた

②文革による社会的風紀・道徳倫理の紊乱や年長者への尊敬の念が失われたことを是正し新たな4つの

現代化(農業・工業・国防・科学技術の現代化)を実現するために必要な社会主義的精神文明の建設を

実現するためには社会主義的婚姻家族制度の改革を強化することが急務となった。

シ 2001年婚姻法

➀1980年婚姻法を修正

②改革、解放による経済発展による物質至上主義・利己的快楽追求志向は、婚姻・離婚観観、親子観、

家族観に多大な影響を及ぼし、経済的弱者である女性・子供・高齢者に対する権利侵害が看過できない

情況になった。

ス 2001年12月27日:司法解釈 婚姻法適用の若干の問題に関する解釈(一)

セ 2003年10月1日 婚姻登記条例

ソ 2003年12月4日:司法解釈 婚姻法適用の若干の問題に関する解釈(二)

タ 2011年7月4日:婚姻法適用の若干の問題に関する解釈(三)

チ 2017年2月28日:婚姻法適用の若干の問題に関する解釈(二)補充規定

テ 2018年1月16日:夫婦債務紛争に関連する事件への法律適用に関する解釈

ト 2018年7月18日:家事審判方式および業務メカニズムの改革に関する意見(試行)

2 関連する法律等

➀1991年養子法

②1991年未成年者保護法

③1992年女性権利利益保障法

④1996年高齢者権利利益保障法

監修

河合・藤井法律事務所

代表弁護士河合基裕

法律事務所に相談に来られる方は、思わぬトラブルに巻き込まれ、不安を抱えておられることと思います。当事務所では、ご相談者さまとの信頼関係を大切にし、ともによりよい解決を目指して参ります。 お力となれるよう精一杯、務めて参りますので、よろしくお願い申し上げます。

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