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コラム

台湾の親族法について(その2)

  • 台湾の親族法

はじめに

台湾の親族法につき、自分の備忘録としてまとめてみました。

参照・引用した文献は

①台湾法入門[蔡秀卿・王泰升編著:法律文化社]

②中華民国親族相続法[劉振榮、坂本廣身著:令文社]

戴炎輝「中華民国婚姻法」宮崎孝治郎編『新比較婚姻法』115頁~(頸草書房)

中華民国における離婚給付制度の研究[林日東著:晃洋書房]です。

 

裁判離婚の原因

①重婚(1052条1項1号)

・貞操義務違反、一夫一妻の根本原則を破壊する

②配偶者以外の者との合意による性交(1052条1項2号)

・貞操義務違反(妻の場合は子孫の血統を紊すことになる、というような

説明がなされた時期もあったようです)。

③配偶者の虐待(1052条1項3号)

・精神的虐待(重大な侮辱等)と肉体的虐待(傷害・暴行等)を包含する

・夫婦の共同生活にたえない程度の虐待でなければならない

[具体例]

肉体的虐待

・暴行の習癖がある場合は程度の高いものを要求しない

・偶発的な暴行の場合、結果が重大であれば離婚原因となるが、軽微なときには離婚原因とはならない

精神的虐待

・事実に反して、配偶者に対して他人と姦通したとか、配偶者を殺害する意図がある等と罵倒した場合

・夫が妻に他人との姦通を強制すること

・叛国附敵、叛国附逆、偽組織に参加

④配偶者の直系尊属に対する虐待、又は、配偶者の直系尊属からの虐待(1052条1項4号)

・親が息子夫婦と同居する習俗や、同居せざるを得ない住宅事情から離婚の争いが起こる例は多い。

・配偶者の直系尊属が有責配偶者からの虐待を受けた場合であっても、離婚の訴えを提起できるのは無責配偶者だけであり、

直系尊属は離婚の訴えを提起することはできない。

⑤悪意の遺棄(1052条1項5号)

・同居義務または扶養義務の不履行

[具体例]

・相手方を置き去りにして飛び出す行為

・相手方を追い出す行為、相手方を家出せざるを得ないように仕向けて復帰を拒む行為

・夫が日常生活の費用を負担すべき場合に、妻に対して長期にわたって生活費を

渡さない場合

⑥殺害の意図(1052条1項6号)

・夫婦の一方が他方を殺害せんとする意図がある場合

・ドイツ民法、スイス民法にならったもの。

⑦不治の悪疾(1052条1項7号)

夫婦の共同生活の障碍となり、容易に治癒できない疾病

⑧重大不治の精神病(1052条1項8号)

・夫婦の一方が精神病の時は、精神的共同生活が破壊されるから離婚原因とした

⑨3年以上の生死不明(1052条1項9号)

⑩故意の犯罪により6ヶ月を超える有期懲役が確定(1052条1項10号)

⑪重大な事由があって婚姻を維持しがたいとき(1052条2項)

 

→上記①~⑩の離婚原因がない場合であっても、夫婦間のもつれの複雑さに柔軟に対処することを可能とするため、1985年改正により追加された。

 

離婚の効力

(1)身分上の効果

①再婚が可能

②改姓

夫の姓を本姓に冠していた妻は夫の姓を取り去り、妻の姓を冠していた入夫は妻の姓を取り去る。

③姻族関係の消滅

④同居義務、及び住所の決定の消滅

⑤貞操義務の消滅

⑥日常家事債務の代理権の消滅

⑦家庭生活費用の分担義務の消滅

⑧夫婦間の扶養義務の消滅

⑨夫婦間の継承権の消滅

(2)子の親権及び監護

・協議により、一方又は双方が共同で行うことを決定する。

・協議が整わないときは裁判所の裁量による。

(1996年改正)

・それまで、離婚後の親権者を原則として夫とする規定から協議により決定するものとされた。

・面会交流に関する規定の新設

(2013年改正)

・裁判所の裁量による親権者の決定に際しては子の最善の利益を考慮する

 (3)財産上の効果

    ①夫婦財産の清算

分別財産制を採用していた場合を除いて、各自の結婚当時又は財産制変更当時の財産を取り戻す。余剰ある場合は、各自の夫婦財産制規定に従って分配する。

[夫婦財産制について]

・夫婦財産制には法定財産制と契約財産制がある。

・夫婦が婚姻前、又は婚姻後に、契約で約定財産制を選択しなかった場合は、すべて法定財産制を選択したものとみなされる。

・法定財産制度の下では、夫または妻の財産は、婚前財産と婚後財産に分け、

夫婦が各自これを所有し、財産の管理についても、夫婦各自が、その所有財産について使用・収益・処分を行う。

・債務の返済は各自が責任を負う。

・離婚により法定財産制が終了した場合は、

婚前財産:各自が取り戻す

婚後財産:相続または無償で取得した財産及び慰謝料を除き、現存する婚後財産から、婚姻関係存続中に負担した債務を控除した後に余剰がある場合は、双方の余剰財産の差額は均等に分配する。

 

例えば、

[夫]

・プラス財産 :800元

・マイナス財産:200元

・余剰財産  :600元(=800元-200元)

[妻]

・プラス財産 :400元

・マイナス財産:100元

・余剰財産  :300元(=400元-100元)

[余剰財産の差額]

600元-300元=300元

[余剰財産の差額の均等分配]

・300元を均等に分ける:150元(=300元÷2)

・上記150元につき、妻は夫に対して請求可能となる。

・その結果、余剰財産の分配は

夫450元(=600元-150元)

妻450元(=300元+150元)

    ②損害賠償請求権

・夫婦の一方が離婚判決によって損害を被った場合は、過失のある相手方に対し、損害賠償を請求することができる。過失は、離婚原因事実の発生につい

てのそれであり、「損害の発生」に対するものではないし、直接請求者に対する行為についてのそれでもない。

・被害を受けた者が無過失である場合は、慰謝料も請求することができる。

    ③扶養料請求権

無過失である夫婦の一方が、離婚判決により生活困難に陥る場合は、相手方はたとえ無過失の場合であっても、相当数額の扶養料を給与しなければならない。

・スイス民法にならった無責主義による離婚後の扶養料給付規定

・離婚を請求した者のみならず、離婚を請求された者であっても、離婚後の生活に困窮する場合には、相手方に対して扶養料の請求をすることが可能である。

・給付義務者が離婚原因につき過失があるか否かを問わない

・給付を請求された者が同じように無資力か、生活困難であるときは、給付しなくてもよい。

[日本が植民地支配を行っていた時期に調査された慣習]

離婚の際、妻の粧奩(嫁入り道具、嫁資財産)、夫の聘金(結納金)につき、以下のような慣習があるとされた。

・両願離婚の場合

夫家は、現在の妻の嫁入り道具を女家に返還しなければならない

・裁判離婚の場合

離婚が夫の意思に基づき、妻に何ら過失のない場合

→夫は妻の嫁入り道具を返還しなければならない

離婚の原因が妻またはその生家の過失行為に基づく場合

→夫家は結納金を取戻す権利があり、それが故に、女家がこれを返還しない間は、夫家において妻の嫁入り道具を抑留することができる。

 

 

監修

河合・藤井法律事務所

代表弁護士河合基裕

法律事務所に相談に来られる方は、思わぬトラブルに巻き込まれ、不安を抱えておられることと思います。当事務所では、ご相談者さまとの信頼関係を大切にし、ともによりよい解決を目指して参ります。 お力となれるよう精一杯、務めて参りますので、よろしくお願い申し上げます。

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